国会で答弁するときの安倍晋三・首相の姿勢は支持率に連動する。モリカケ問題に国民の批判が高まり支持率が急落すると、腰を低くして「丁寧に説明する努力を積み重ねたい」「批判は真摯に受け止める」と語り、支持率が回復に向かうや、胸を張り「政府が扱う森羅万象を全て私が説明できるわけではない」と言ってのける。
だが、共通するのは、いずれにしても相手の質問にまともに答える気がないということだ。そうした安倍首相の答弁スタイルを「信号無視話法」と名づけたのは都内在住の会社員・犬飼淳氏である。
「もともと政治には興味がなかったが、国会で1年以上にわたって騒いでいるモリカケ問題では、非常におかしなことが起きているんだろうと感じていました。しかし、テレビのニュースでは問題の本質が見えてこない。新聞は詳しいが、やはりわかりにくい。そこで自分なりにまず安倍首相の国会での説明を視覚化してみようと考えたんです」
犬飼氏は1年半ぶりに開かれた5月30日の党首討論から、首相が質問にまともに回答した部分を「青」、全く聞かれていないことを答えたり、論点のすり替えで誤魔化した部分を「赤」、なぜか質問内容を繰り返したり、解説した部分を「黄」と“信号機”のように色分けしてみた。するといきなり問題の本質が見えてきた。
「首相夫人が公務員を使って、財務省に(森友学園への)優遇措置を働きかけるのはいいことか」などと質問した枝野幸男・立憲民主党代表への答弁では、首相は枝野氏の持ち時間19分のうち12分も喋り続けたが、犬飼氏が文字数を計算すると「青」答弁はわずか4%、しかも「政府はコメントする立場にはない」と、内容的にはゼロ回答だった。