アメフト部の悪質タックル問題をきっかけに、日本大学の奇妙な実態が次々と明らかになる流れは、まだまだ止まらない。
「いま、日本大学の危機管理学部で『英語の授業』がおかしなことになっています。教壇には外部の英会話学校の講師が立ち、それを日大の教員が何も指導せずにただ“観察”している状況が生まれているのです」
そう話すのは、日大の三軒茶屋キャンパス(危機管理学部、スポーツ科学部)で、昨年度まで非常勤の英語講師を務めていた真砂久晃氏(59)だ。危機管理学部といえば、田中英壽理事長の肝いりで2016年に開設された新設学部である。それにしてもなぜ、そんな「おかしな授業」が生まれたのか。
問題は、日大が今年4月から、真砂氏ら非常勤の英語講師に代えて、授業を英会話学校に委託する形式を採用したことに端を発する。
この変更だけなら「教室に先生は1人」のはずだが、英会話学校への授業の“丸投げ”が問題になった。大学設置基準(文部科学省令)で、大学が〈必要な授業科目を自ら開設〉(19条)するよう求められていることに違反する疑いが浮上し、文科省が日大の聴取に乗り出す事態に発展。その結果、「丸投げではない」という形にするためか、日大の教員がもう1人、“観察”するという「おかしな授業」が生まれたというのである。
もともと、前出の真砂氏ら15人の非常勤英語講師が契約を解除された背景には、人件費カットの狙いが窺える。真砂氏らは6月22日、不当な雇い止めだとして、日大を相手取って地位確認を求める訴訟も起こした。