運動後の筋肉痛は2~3日経てば解消する。しかし、特定の運動を繰り返すことで手首や肘、膝や腰などに過剰な負荷が長期間にわたると痛みが生じたりする。このような過剰なスポーツによる長期間の慢性痛は、筋肉の障害や関節の故障などで炎症が起こり、さらにそこに、ごく細い新生血管が無数に生じることで発生してしまう。
痛み治療専門外来のOKUNO CLINIC(東京都港区)の奥野祐次院長に聞く。
「椎間板ヘルニアは腰椎の間のクッションの働きをしている椎間板が外に飛び出し、神経を圧迫するため痛みが生じます。痛みが激しい場合はヘルニアの圧迫を軽減する手術を行ないますが、痛みの場所を見ると新生血管が異常に増えていて、中には毛糸が絡まるように集まっているのが見てとれます。この新生血管の周囲には神経細胞も増殖しており、これが過敏に反応し、余計に痛みを増生しているわけです」
これら異常な新生血管を血管造影すると、タバコの煙がゆらゆら立ち上っているように見えることから、「モヤモヤ血管」とも呼ばれている。これらの慢性痛に対しては鎮痛剤を服用しても、あまり効果が期待できない。
この「モヤモヤ血管」に対する自分でできる治療の一つに15秒指圧がある。異常な新生血管は細く無秩序に増殖していて、血流が遮断されると死滅する特性がある。15秒指圧は痛みの発生場所を皮膚の上から押し、血流を遮断し、新生血管を減らす方法だ。
例えば、ジョギングなどで膝に痛みを感じた場合、痛みのある足の膝を、場所を変えながら親指で押す。明らかに他の部位よりも痛い場所が見つかったら、そこを親指で15秒間押す。強すぎると逆効果なので、爪が白くなる程度に押して新生血管の血流を止める。1か所につき1日2回程度長押しすると1~2週間程度で痛みが軽減する。ただし、自分で行なった場合に場所や押し方が適切ではないこともある。15秒指圧を1週間以上継続しても痛みが軽減しない場合は、専門の整形外科など医療機関でやり方をアドバイスしてもらったほうがよい。