でっぷりと太ったふてぶてしい容貌に反して(?)、飼い主「おじいちゃん」の愛情に応えるように時に甘えたりもする猫「つしま」。その愛らしい姿と、クスッと笑えてしんみり泣けるストーリーで今、漫画『俺、つしま』が話題沸騰中だ。
作画を兄が、文章とストーリーを妹が担当する兄妹ユニット「おぷうのきょうだい」さんが描いた漫画『俺、つしま』は2017年、彗星の如くツイッターに登場した。愛猫家を中心にたちまち話題となり、4月26日に書店に並ぶや驚異の売れ行きで全国の書店から姿を消す。その後版を重ねて、現在は発売2か月で10万部を突破している。ジュンク堂書店池袋本店の岡原朋代さんはこう語る。
「売れ行きは絶好調です。20代から中高年のかたまで幅広い層に売れていて、『俺、つしま』のポスターの前を通りかかった人がそのまま購入される姿もよく見られますね」
『俺、つしま』の主人公は、腹巻きをして二足歩行をするキジトラの「つしま」。前の飼い主に先立たれて野良生活に戻っていたところ、次に拾ってくれた「おじいちゃん」と家族になるところから物語は始まる。おじいちゃんとのやりとりや先住猫たちとの会話に、猫を飼う人は「こんなこと、あるある」と共感。猫好きの心に刺さるエピソードやせりふが満載なのだ。
果たして、どんなところにグッと来るのか。猫本の聖地『姉川書店神保町にゃんこ堂』アネカワユウコさんが、その魅力を語った。
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まず驚いたのが、「これは写真!?」と思うほど、実物そっくりな描写です。他の猫漫画は多少かわいく描かれている中、これは毛並みといい目つきといい非常にリアル。でも、二足歩行をしている。そんなインパクトある表紙に惹かれて中身に進むと、猫の生態もリアルなんですよね。
例えば、猫が集まる「やさぐれ会」で、「ゴハンの時、エサだけでいいのに、なぜ毎回エサと一緒に人間がいるのか」といったことを話し合っているシーン。猫のシュールさがすごく出ていて、「わかる。猫たちが言ってそう」とうなずいてしまう。
前の飼い主が亡くなった後、つしまがすぐにエサ探しに行く回想シーンも好きです。人間に寄り添って猫も弱っていくのではなく、野良猫ならではの生命力の強さに救われます。
※女性セブン2018年7月19・26日号