「対岸の火事」という言葉があるが、文字通りにあなたが火事に遭う確率をご存じだろうか。「今後30年以内に1%」である。さて、地震の場合はどうだろう。先日の大阪北部地震と同じ震度6弱の地震が、あなたが暮らす街を襲う確率は──。
午後5時ちょうど頃、広島県北部に揺れが走った。M(マグニチュード)は4.9。三次市などで震度4を記録した。約2時間半後に、千葉県南部を震源とする地震が発生。最大震度は4で、Mは4.4だった。そして、そのわずか20分後、岩手県沖の深さ50kmのところで震度3の地震が発生した。
3つの地震すべてが6月26日の夕刻の3時間ほどの間に立て続けに起きた。距離が離れているので、直接的な関連性はなさそうだ。余震などではなく、震度4クラスの地震がそんなに短時間に起きることはとても稀なケースだ。日本の地下で何が起きているのか――本当に不気味である。
最近、日本が“地震列島”であることを改めて認識させられるような揺れが相次いでいる。その最たるものが、6月18日に大阪北部で起きた震度6弱の大地震だ。
その地域が震災に見舞われるのは、実に約400年ぶりだという。「慶長伏見地震」(1596年)。当時は天下を統一した豊臣秀吉の治世だった。贅を尽くした新築の伏見城はもろくも崩れ、当時の記録によると城内の犠牲者は570人を超えた。秀吉は配下の名将・加藤清正に背負われて、命からがら救出されたという逸話が残っている。
大阪を襲った地震は「忘れた頃にやってくる」という教訓そのものだ。しかし、文部科学省が設置している「地震調査委員会」が6月26日に発表した最新の地震予測を見ると、忘れている場合ではなく、眼前に迫った危機であることがよくわかる。
先ごろ発表された「全国地震動予測地図2018年版」では、「30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率」が示されている。地図の中で濃い色で示した部分ほど「30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率」が高く、薄い部分は低い。
このデータでは、一部の地域の確率の高さに驚かされる。都道府県の県庁所在地の上位でいうと、千葉市で85%、次いで横浜市の82%、水戸市の81%の順。待ったなしの状況なのだ。