かつては組の事務所があり、外国人売春婦が裏路地に立つ危険な街だったが、現在は警察や新宿区の協力で治安も問題ないという。
「昔、韓国の人たちが大久保に来た時は地元の人と揉めたと思いますが、今では彼らは商店街の人たちと上手く付き合っています。韓国人のような先に住み始めた外国人が、ネパールやベトナムなど次に来る外国人に教育していく、というのが理想です」(武田さん)
最近、増え始めたパキスタン、バングラデシュなどアジア系やアフリカ系の“新参者“が孤立しない為にも、この街に根を下ろした先駆者たちのサポートは不可欠だ。大久保を訪れた人が喜んで満足するようなインターナショナル・タウンにするのが武田さんの目標だという。
外国人の人口は増加の一途を辿り、地方都市でも外国人街が増えている。外国人を“隣人“として迎え、彼らと上手く共存していくには大久保の住民から学ぶべきことはあるだろう。
気軽にチーズタッカルビ、ケバブ、ダルバート、バインミーなど海外グルメが堪能できて日本にいても海外旅行気分を味わえる大久保。“国際カオス・タウン”がどのように進化していくのか注目していきたい。
【プロフィール】よこた・とおる/1971年茨城県生まれ。1997年のカンボジア内戦からカメラマンとして活動開始。アフガニスタン、イラク、シリアなど世界の紛争地を取材。著書に『戦場中毒』(文藝春秋刊)がある。
※SAPIO 2018年7・8月号