ビジネス

「多すぎるサービス残業」「上司のひどいパワハラ」との戦い方

会社に追い込まれる必要なんかない

 働き方改革が叫ばれる昨今、かつてほどの滅私奉公は減ったであろうものの、付き合い方を間違えると人生に深刻なダメージを負う可能性があるのが会社、である。コラムニストの石原壮一郎氏がサラリーマンの身の守り方について指摘する。

 * * *
 エリートが集っているはずの大企業や官庁でも、不祥事を起こしたときには「えっ、なんでそんなバカな言い訳を……」と思わされることが多々あります。あなたの会社も、謎の制度改革を行なったり、ヘンな力学が平気で働きまくったりしているのではないでしょうか。そう、じつは会社というのは、思っている以上に「バカ」です。

 パワハラ、セクハラ、サービス残業、不当解雇、時代遅れの慣習など、いろんな「理不尽」がまかり通っているのも、つまりは会社がバカでそれらの問題を解決する能力がないから。バカに期待しても仕方ないし、いろんなしわ寄せを受けるのは従業員です。

 労働問題のプロである特定社会保険労務士の三矢晃子さん(美人)が、会社や職場にうごめく「理不尽」との戦い方を指南してくれる頼もしい本が出ました。その名も『9割の会社はバカ──社長があなたに知られたくない「サラリーマン護身術」』(飛鳥新社)。法律や制度を活用した解決法に加えて、大人力を駆使した波風を立てずに効果を上げる対処法も、大人力コラムニストとやらが合わせて指南しています。いやまあ、私なんですけど。

 具体的な「理不尽」との戦い方をふたつご紹介しましょう。

●ケース1「サービス残業の多さに我慢できない。労基署にチクったらどうにかなるのか」

三矢「過重労働問題は労働行政がとくに力を入れている分野なので、証拠をそろえて持っていけば、ちゃんと動いてくれます。タイムカードや実際に働いた時間がわかるメモ、仕事していたことがわかるメールなどを持って、最寄りの労基署に行き、『サービス残業に関しての申告で来ました』と宣言しましょう」

 匿名でも受け付けてくれるものの、名前を明らかにするケースに比べて、後まわしにされたり調査が緩くなったりする傾向があるとか。ただ、たとえ動いてくれても、自分がチクッたことが会社にバレるのは困ります。

三矢「労基署には守秘義務があるので、申告者が匿名を望めば名前は絶対にバラしません。ただ、調査が入って会社で犯人探しが始まる可能性はありますね。上司が『キミじゃないよね』とカマをかけてきたら、どうせいろんな社員に聞いてるんだから、『誰なんでしょうね。見つけたらヤキ入れときますよ』とでも言っておけばいいんです」

 仮にバレても、告発を理由に解雇や降格、減給といった「不利益取扱い」をすることは、法律で禁じられています。ただ、平気でサービス残業をさせるような会社だけに、困った報復をしてくる可能性は高いかも。「何かしてきても、裁判を起こせば負けることはないでしょう」(三矢)。まったく反省する気配がないようなら、そんな会社にはさっさと見切りをつけるのも、明日に向かう第一歩です。

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