国内

六本木のダンスパーティでバブルを懐かしむアラフィフ女性の告白

「あんないい時代、もう二度とこないじゃない?」

 何をしていても、明日は今日よりも良い日になると多くの人が信じていた最後の時代、バブル期を忘れられない人たちがいる。ライターの森鷹久氏が、華やかさを再現し続ける女性に聞いた。

 * * *
 東京・六本木のクラブが入る雑居ビルに、派手な格好をした男女が続々と吸い込まれていく。バブル景気の頃に日本にもたらされ、バブル崩壊後の、派手な雰囲気だけ残った時期に日本で流行したユーロビートという音楽がある。1990年代、その曲にあわせて大流行した振り付けの延長のようなダンス“パラパラ”のイベントが開催されるこの日、ほぼ全員がアラフォー(40歳前後)以上の男女という参加者の中に、アラフィフ(50歳前後)の美奈さん(仮名)の姿があった。

「もうね、ずっと楽しみだったの! あんないい時代、もう二度とこないじゃない?」

 美奈さんが女子大生だったころ、日本は空前のバブル景気に沸いていた。就職活動では、特に苦労せず数社から内定をもらい、各社の採用担当者から連日の接待を受け、タクシー代と称し、会うたびに数万円を受け取っていた。プライベートでは「アッシー君」「メッシー君」と自家用車で送迎をしてくれるだけの男性、食事をおごってくれるだけの男性、という役割に特化された、交際していると言えなくもない相手もいた。もちろん「本命」の彼氏もいて、当時就職先としてはナンバーワンの人気を誇った保険会社に勤める五歳年上の男性と“なんとなく”結婚を意識もしていた。しかし……。

「百貨店に就職したけど、よかったのは最初の数年だけ。バブルが弾けて何もかもが変わったの。給料もボーナスも下がって旅行にも行けないし、買い物だって満足にできない。でも、ナイトクラブに貧乏くさいカッコじゃ行けないのね。だから、スナックでアルバイトしたりして、なんとかやっていたのよ。見た目は派手だけど、プライベートはすんごい地味なの」

 一度覚えた派手な生活、遊び方を忘れることはできなかった。結婚も意識していた彼氏ともうまくいかなくなり破局。目的別に確保するほどいた、交際相手と言えないこともない男性たちが、全員が美奈さんの周りから消えたのは、ちょうど30歳のころ。バブル景気が去った日本は低成長や世界恐慌で萎縮し、失われた20年から抜け出せずにいた。同期入社の女性社員の多くが、寿退社で会社を去ったタイミングで、会社から突き付けられたのは、実質的な「契約社員への降格」だった。

「お給料は入社した時よりも悪くなって、ボーナスもほとんど出ない……。それで契約社員だっていうから頭にくるじゃない? それで後先考えずに辞めちゃったのね……」

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン