日々の生活の足となり、仕事道具となるなど、長い年月を車とともに過ごしてきた高齢ドライバーが、運転をやめたり免許返納を迫られている。そんな社会の流れに従う人、抗う人はどんな感情を抱いているのだろうか。俳優・千葉真一(79)に聞いた。
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死ぬまで車に乗るつもりだから、返納なんて考えたこともないですね。僕が俳優としてデビューしたのが20歳の時です。2年後に念願の免許を取って以降、何十台と乗り継いできたけど飽きたことは一度もない。
この写真を見てください。昔、出演した刑事ドラマで車と一緒に海に飛び込むというシーンです。メチャクチャでしょ?(笑い)
失敗したら死ぬ。カーアクションは文字通り命がけで、車と僕の関係は昔から密接だった。常に車は僕の生活の一部、いや体の一部でした。今だって週5日、ジョギング以外は車に乗っていますよ。ま、住んでるところがバスも来ない千葉の山奥だからっていうのもありますけどね(笑い)。
愛車はレクサスのスポーツカータイプとミニクーパー。満足しているけど僕には乗りたい車がまだ何台もあるんですよ。いま一番欲しいのがベンツのクラシックタイプの特注カー。推定7億円といわれる代物で、自分でも現実に乗れる日は来ない“夢物語”と思う時もある。それでも“いつか乗ってやる”と思うことで活力が湧いてくるんです。
僕はクラシックカーが特に好きで、30代の時に乗ってた英国製モーガンは今も忘れられない愛車のひとつです。当時、撮影所で一緒だった故・高倉健さんが僕のモーガンを見て「お前、車が好きなのか」って声を掛けてくれたんです。嬉しかったな。