通信機能を持った自動車、いわゆる「コネクテッドカー」の開発が進んでいる。将来的には渋滞緩和や自動運転の実現にも役立つ技術として期待されているが、ユーザーの利便性はどれだけ高まるのだろうか。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏が解説する。
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6月に発売開始となった、トヨタ自動車の新型車「カローラ スポーツ」と「クラウン」は「コネクテッドカー」が売りのひとつとなっています。
両車は車載通信機器のDCMを全車に標準装備しており、万一の交通事故時に対応するヘルプネットや、スマートフォンでのLINE連携や、専用アプリを使ってクルマから離れた場所からの施錠やカーナビの目的地登録などが可能になっています。
この先の自動車の進化を考えれば、いち早くコネクテッドカーに挑戦したトヨタの姿勢は流石というもの。しかも、高級車である「クラウン」だけでなく、大衆車である「カローラ スポーツ」にも通信機器を標準装備したのは英断と言えるでしょう。
とはいえ、実際に利用できるサービスは、すでにある「T-Connect」の発展形のようです。購入から3年間は利用料金無料ですが、その後は有料。そうとなれば、全員がお金を払ってまで継続するかどうかといえば、けっこう微妙ではないでしょうか。
調べものは自前のスマートフォンを使えばよいわけですし、クルマのメンテナンス状況やエコドライブの診断などは必要ないと考える人もいるでしょう。事故対応のヘルプネットはぜひとも欲しい機能ですが、それ以外はなくても困ることはありません。
つまり、コネクテッドカーとして、「ぜひとも欲しい」というキラーコンテンツが、もう少しほしいというのが正直なところです。
たとえば、コネクテッドでクラウドの力を使える=音声認識機能が強化されるわけですから、声でカーナビの目的地を探すだけでなく、エアコンやオーディオの操作、さらにいえば走行モードの調整、オーナーズマニュアルの読み上げなど、Siriやグーグルのように、声でできる操作を広げてほしいものです。
また、クルマがWifi局になって、乗員のスマートフォンの通信を受け持ってくれれば、手持ちのスマートフォンの通信データ量が節約できます。また、クルマに乗ったら最寄りの店などの広告が表示され、その店に行けば割引が受けられるというサービスがあってもいいでしょう。とにかく、新しくて魅力的なメリットがなければ、通信費用を支払い続けるのが嫌という人もいるでしょう。