子供の連れ去りが社会問題となっている。最近の傾向を探ることで、その危険性を防ぎたいものだ。そこで、最近の2つの連れ去りの傾向をご紹介する。
不審者のほとんどは、狩場=犯行現場の下見など、下準備をする。しかし最近では、この下見をインターネットの地図機能などで行い、犯行直前まで現場に姿を現さない手口が増えている。
周辺住民に顔がバレたり、不信感を抱かせないためだ。ステルス戦闘機のように、姿を見せずに接近するわけだ。「ステルス型」ともいえそうだが、子供の安全を研究するステップ総合研究所の清永奈穂さんはこう語る。
「2016年に発覚した埼玉県朝霞市の少女誘拐監禁事件も、このパターン。寺内樺風(かぶ)被告は、田舎すぎず都会すぎず自分が紛れ込んでも怪しまれない場所や、ターゲットの情報をネットで検索。接触場所や逃走経路を絞り込んでから、1~2回下見に行ったといいます」
家のまわりに、子供の性別や年齢、名前が推定されそうな遊具や自転車などを置いておくと、ネットの地図機能などで知られる。隠すか片づけるかすること。また、SNSで家族構成や旅行の予定などについて発信しないことも、防犯対策となる。
続いては、SNSを利用した連れ去りだ。SNSで知り合い、仲よくなって、最終的に会うところまで持っていくのがこのタイプ。例えば今年3月、福岡で小学5年生がツイッターで仲よくなった男にホテルに呼び出され、強制性交された事件があった。
また、神奈川県座間市で15才を含む9人の遺体が見つかった事件は、この手口の最たるもの。約100回も被害者とツイッターで悩み相談を交わしたという。
「最初は悩みや愚痴を聞くだけですが、徐々に会いたい気持ちを煽り、被害者本人から、会いたいと言わせるんです」(清永さん)
スマホやパソコンを持たせていないからと安心はできない。ゲーム機でもSNSができる。
「子供がIT機器を使っていたら、“誰とお話ししているの?”などと聞き、相手を把握しておいた方がいいでしょう」(清永さん)
※女性セブン2018年8月2日号