仕事中に怪我をしたり健康を損ねたりすれば、労災が認定されるはずだが、違う職場で同じ箇所を負傷した場合、労災は認められるのだろうか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
2年前に給食センターの洗い場作業でテニス肘になった妻は、労働基準監督署に労災を求め認定されました。その妻が福祉施設の洗い場で再びテニス肘を患い、労災を申請したら、同じ病名や症状では保険が下りないといわれたそうです。同じところを負傷した場合、2回続けての労災は認められないのですか。
【回答】
テニス肘が「身体に過度の負担のかかる作業態様の業務に起因することが明らかな」場合、労災の対象である「業務上の疾病」になります。以下では、奥さんの2年前のテニス肘が一旦、治癒したものと考えて検討します。その場合、別の職場で同様の「身体に過度の負担のかかる作業態様の業務」に従事した結果、テニス肘になれば、労災認定を受けられるはずです。
労災では、業務上の事由や通勤上の事故で労働者が負傷や死亡したときに、その対象者は故意に傷害を受けるなどの重大な責任がない限り、保険給付を受けることができます。時期を異にして従事した業務がそれぞれ「身体に過度の負担のかかる作業態様の業務」であり、それが起因となってテニス肘の症状が生じれば、労災になります(業務起因性)。