100回目となる夏の甲子園に向けた地方予選の真っ直中にあって、鮮烈なデビューを飾った1年生の怪物たちがいる。
元プロ野球選手を父に持ち、横浜高校で正二塁手の座を勝ち取った度会隆輝(わたらい・りゅうき)。主将のケガによって、急遽スタメンマスクをかぶった奈良・智弁学園の佐藤尊将に、南福岡大会で快投を見せた福大大濠の左腕・深浦幹也。そして、春夏連覇を目論む大阪桐蔭の“最強世代”に、1年生としてただひとり割って入った138キロ右腕・仲三河優太──。
いずれも強豪校に突然現われた新星に映る。だが、チーム関係者にとっては1年以上前から重ねてきた努力の“成果”なのである。全国に名だたる名門校は、目の前の地方大会を戦うだけでなく、才能ある中学生に眼を光らせ、数年後を見据えたスカウティングに力を注ぐ。
先に挙げた4選手には共通した経歴がある。中学3年生だった昨年、U-15侍ジャパンのメンバーに選ばれ、アジアチャレンジマッチで優勝を果たしているのである。
日本国内に存在する、シニア、ボーイズ、ポニー、ヤングといった様々な中学硬式野球リーグの垣根を越えて、中学生年代の有望選手を全国から集結させたのがU-15侍ジャパンだ。他にも「代表」の名が付く選抜チームは存在するものの、逸材揃いという点ではこの侍戦士たちが群を抜く。
パナマで開催される「第4回WBSC U-15 W杯」(8月10~19日)に挑む今年は、5月に関東、関西、九州の3か所でトライアウトが実施された。20人の代表枠に対し、各地区から推薦された総勢約130人の選手が参加。実に競争倍率6.5倍の狭き門である。