毎日が猛暑&熱帯夜でとにかく暑い! キンキンに冷えた部屋にいたいけれど、冷房病という言葉があるように、部屋を冷やし過ぎると自律神経のバランスが崩れ、肩こり、頭痛、下痢、不眠など、さまざまな症状の原因になるという。では、どうしたらいいのか。…そういえば、背筋が凍るような怖い話なら、暑さ対策になるかも。とくにあの怪談の名手の話ならば、なおさらなのでは?
「怪談を聞いて体温が下がるのは事実です」
そう回答するのは、国際医療福祉大学医学部教授で山王病院心療内科医師の中尾睦宏さん。
「某テレビ番組で実証実験をしたことがあります。寄席で、怪談を聞かせるグループと、通常のお題目を聞かせるグループにわけ、体感温度と皮膚表面温度を比較しました。結果、怪談を聞かせたグループの平均体感温度は下がり、通常のお題目を聞かせたグループとの差は4度以上となりました。サーモグラフィーで測定すると、手のひらの皮膚表面温度も低下していました。
怖い話を聞くと、脳に作用し、不安、緊張、恐怖など感じます。すると危険を知らせるアラーム信号が発信され、四肢など大きな筋肉に血液を送って、体をすぐに動かせる状態にします。すると、手足の先など末梢への血液循環は相対的に少なくなるので、末梢血管は収縮します。すると、体が冷えた感覚が生じるのです」(中尾さん・以下「」内同)
つまり怪談を聞いて「怖い」と感じることで、「ひんやり」する、ということ。猛暑が続く季節に、怪談を聞くことは暑さを乗り切るうえで、効果的と言えそうだ。
逆に言えば、怪談を聞いても、怖いと思わなければ、体温が下がらないということ。語り手の手腕が問われるところだ。となると、夏の風物詩・稲川淳二の怪談なら、この猛暑にぴったりなのでは?
「確かに、話し手の話術によって怖さの程度は変わります。特に稲川さんのライブでは、会場を薄暗くしたり、青い照明を使ったりします。人間は外界から得る情報の8割は視覚からといわれているので、視覚効果は高いでしょう。声のトーンを変えたり、効果音など聴覚への演出も侮れません」