壇蜜:高さ違いで正方形や長方形の枠を組み合わせています。田舎の家の雪見障子のように畳に座った目線が反映されているのですね。軒下の階段を上がる構造は、近代の高床式住居です。
山下:これぞ日本建築の遺伝子。彼が設計した香川県庁舎も、低層棟の下は柱だけを残した外部空間のピロティになっています。丹下健三は、日本文化の原型と語る伊勢神宮のシンプルさに通じる建造物も遺しています。
壇蜜:伊勢神宮は金沢にできた文化施設・鈴木大拙館にもそのエッセンスが感じられて、日本の建築を象徴する建造物だと先程おっしゃっていましたね。
山下:明治維新以降、日本建築は日本古来の建築と西洋建築が融合してより独創的に発展してきました。1882年完成の宮城県会議事堂は日本伝統の木造建築ながら、破風や柱に西洋建築のモチーフが施されています。
壇蜜:鬼瓦など日本の工芸デザインの遺伝子も息づいています。
山下:旧帝国ホテル本館を設計した米国人のフランク・ロイド・ライトは、シカゴ万博の日本館からインスピレーションを得ています。本展では国外の建築家が見出した日本建築についてのセクションも設け、日本・西洋を問わず受け継がれた日本建築の遺伝子に触れられます。
壇蜜:まさに日本建築のすばらしさに感謝する場ですね。