巷の健康情報には「効果的かどうかは年齢によって変わってくる」という視点が欠けている──本誌・週刊ポスト前号の特集「健康の未来年表」は、薬、手術、健康法を取り上げ大きな反響を呼んだ。
年齢を重ねるにつれ、摂取時に注意が必要になる食品は、日々の食卓にも多く並んでいる。和食には「味噌汁」が欠かせない。塩分の摂りすぎには注意が必要だが、味噌や豆腐に含まれるレシチン、イソフラボンといった成分には動脈硬化の予防効果があるうえ、わかめを具にすれば水溶性食物繊維を摂ることができ、腸内環境を整えることにつながる。
しかし、「嚥下能力が衰え始める70歳をすぎると注意が必要になる」と指摘するのは、健康検定協会代表の管理栄養士・望月理恵子氏だ。
「高齢になるほど舌やその周りの筋力が低下して、物を飲み込む際に気道をふさぐことができなくなります。すると、汁物と一緒に、わかめやネギなどの具材が間違って気道に入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こすリスクが高くなる」
食事中に限らず、水分補給にペットボトルの緑茶を飲む人が増えている。緑茶に含まれるカテキンには血圧降下作用や抗酸化作用があることが知られるが、猛暑の時期は注意が必要だという。
「緑茶は利尿作用が強いことが特徴です。とくに65歳以上の高齢者が夏場に水分摂取のため緑茶をたくさん飲むと、かえって脱水症状を深刻化させる怖れがある。また、緑茶には大量のカフェインが含まれており、夜に摂取すると夜間頻尿を招くことがあります。国立長寿医療研究センターの調査によれば、夜間頻尿があると感じている60代は80%にも及ぶというデータもあり、とくに注意したい」(同前)