女性セブンに連載されていた細川貂々さんの落語コミックエッセイ『お多福来い来い てんてんの落語案内』が単行本化。その発売を記念し、同書にも度々登場する宗教学者・釈徹宗さんと貂々さんのスペシャル対談を行った。今だから話せる連載裏話から落語と寄席の魅力まで、たっぷりとお届けします!
【プロフィール】
細川貂々/ほそかわ・てんてん。1969年生まれ。漫画家・イラストレーター。著書に『ツレがうつになりまして。』シリーズや『それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門』『わたしの主人公はわたし』『日帰り旅行は電車に乗って 関西編』など。
釈徹宗/しゃく・てっしゅう。1961年生まれ。宗教学者・浄土真宗本願寺派如来寺住職、相愛大学人文学部教授、特定非営利活動法人リライフ代表。著書に『お世話され上手』『落語に花咲く仏教』『70歳! 人と社会の老いの作法』(五木寛之との共著)など。
釈:ぼくは実は子供の頃から漫画が大好きで、漫画で人生を学んできたと思っているんです。だから、今回、この『お多福来い来い』の漫画に登場すること自体、大変な喜びでして。しかも、だんだんキャラ化していきますよね(笑い)。内田樹先生(神戸女学院大学名誉教授)にもずいぶん羨ましがられました。あの人にとっても、漫画に登場することって想像を絶するくらいうれしいことらしくて(笑い)、いい話だなぁとか随分ほめてくれていました。
貂々:私には、釈先生はこの本に描いたように、かわいらしい感じに見えているんですよ(笑い)。
釈:タカラヅカに『幕末太陽傳』を一緒に観に行った場面には、同行したウチの長男も描かれているでしょう。チョー大雑把に描いていて、決して似ているわけじゃないのに、見た人はみんな、まぎれもなくウチの長男だって。
貂々:よく言われます(笑い)。全然似てないのに、あの人のことを描いているとすぐわかるって。
釈:はっきり言わせてもらえば、『牛ほめ』の牛なんかひどいじゃないですか(笑い)。イメージだけで描いているんですか?
貂々:すみません(笑い)。一応調べているんですけど…。
釈:一方で、繁昌亭(大阪・天神橋にある寄席)の楽屋なんかは、細部も押さえてよく特徴をとらえてますよね。ちょっとビックリしました。この人はいつも写真を撮っている風もなく、メモも取っている風もないのに、どうして描けるのかなと思うんです。秘密でもあるんですか?
貂々:いえいえ、秘密なんてないです(笑い)。あの時はノートを持っていたので、楽屋の様子は絵に描いていました。