ずっと体に良いと思って食べていた食品が、ある年齢を境に健康を害すリスク要因に変わっていたとしたら……。実は体づくりの元になる食べ物において、年齢別の考え方は重要となる。
食べ物が高齢者のかかりやすい病気の「防波堤」となることもある。高齢者の死因の上位にランクする誤嚥性肺炎を防ぐには、キムチや唐辛子に含まれるカプサイシンが有効とされる。
「70歳を過ぎると反射機能が衰えて誤嚥性肺炎が増えますが、キムチや唐辛子などに含まれるカプサイシンは反射機能を刺激し、咀嚼機能も向上させるとの報告があります。ただし辛すぎる刺激物を摂ると胃腸への負担が大きくなるので、ほどほどの辛さのものにしておきましょう」(健康検定協会代表の管理栄養士・望月理恵子氏)
人間は加齢とともに塩分を感知する能力が衰えていくことが分かっている。そうした「味覚障害」の原因も、食べ物によって予防できる。『老人の取扱説明書』の著者で二本松眼科病院の平松類医師が解説する。
「高齢者は健康な若い人に比べ、約12倍の塩を使わないと同じ味に感じられないとする研究結果があります。また、55歳を超えると若い世代の3倍以上で味覚障害が発生するとされる。
味覚障害を防ぐには55歳を目安にして『亜鉛』を含む食品を多く摂取するよう心がけるべきです。亜鉛には、味を感じ取る舌内の器官『味蕾』の細胞を再生させる働きがある。亜鉛の含有量が多い、牡蠣やレバーといった食材で予防を心がけるとよいでしょう」