医学が目覚ましい進歩を見せる一方で、いま「漢方」の力が見直されている。2000年以上の伝統を持ち、西洋医学の薬とは違った作用機序による効果が期待できる漢方薬を、様々な分野の名医たちが、改めて高く評価しているのだ。
では、どの漢方を、どんな状況・タイミングで飲めばいいのか。心臓外科医の南淵明宏氏が「自分でも飲んでいる漢方」を明かす──。
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西洋医学の場合、あくまで理詰めでしか治療ができませんが、漢方を含めた東洋医学では“原因がよくわからないけど痛い”といった症状に対して効果が得られることがある。状況に応じて両方を上手に使い分けることが重要になってきます。
私自身、風邪を引いて咳がひどく出るなど「症状が気管に強く出ているな」と感じる時には小青竜湯(ショウセイリュウトウ)を飲んでいます。
西洋医学の風邪薬の場合、飲んだ後に眠くなったり便秘になったりするものもありますが、この漢方薬は私に合っているのか、そうした副作用がなく咳が止まります。
実は、心臓外科医として漢方を処方することも少なからずあります。たとえば「心臓がどきどきして夜寝付けない」という患者に対して抑肝散(ヨクカンサン)を処方することがある。結果、動悸が抑えられ、眠れるようになったと感謝されるケースがあります。