医学が目覚ましい進歩を見せる一方で、いま「漢方」の力が見直されている。2000年以上の伝統を持ち、西洋医学の薬とは違った作用機序による効果が期待できる漢方薬を、様々な分野の名医たちが、改めて高く評価しているのだ。
では、どの漢方を、どんな状況・タイミングで飲めばいいのか。脳神経外科医の工藤千秋氏が「自分でも飲んでいる漢方」を明かす──。
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私は30年ほど前から漢方薬を使っています。
脳外科の手術は10時間以上に及ぶ場合が多く、立ちっぱなしなので手術が終わると足がむくんだり、筋肉痛になったりする。
西洋医学の薬で対処しようとすると、鎮痛剤のボルタレンやロキソニンは胃痛などの副作用があるし、むくみを改善する他の処方薬にも頻尿や血圧の低下などの副作用があります。
そのため、副作用の少ない漢方薬の五苓散(ゴレイサン)や芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)で症状を緩和させるようになりました。