多くの人々の生活にSNSがなくてはならないものとなっている現代社会。SNSを活用する人が多い一方で、人間関係もSNSによって複雑化しているという。特に男女のいざこざは格段に増えている。不倫・離婚問題を専門に扱う新宿キーウエスト法律事務所代表の澤藤亮介弁護士が言う。
「弁護士になって15年ですが、近年はSNSの発達とともに男女の関係がこじれ、訴訟に発展するケースが目立ちます」
SNSの普及により、男女が出会うハードルは格段に下がった。
「見ず知らずの男女がSNSを通じて知り合えるようになり、不倫に発展するケースが増えています。しかもSNSでスタートする男女関係はお互いの素性を知らないうちに深い仲になるケースが多く、『相手が実は既婚者だった』『素性を偽っていた』などのトラブルに発展しがちです」(澤藤弁護士)
とりわけ目立つのは、SNSを通じて不倫が発覚するパターンだという。
「ここ数年の私が担当した事例の、8割以上は『LINE』のやりとりで不倫がバレています。スマホにロックをかけていても、誕生日などのわかりやすいパスワードだったり、解除しているところをのぞき見されたりしてロックが突破される。酔って熟睡しているときに指紋認証を用いてロックを解除されるケースもありました」(澤藤弁護士)
離婚裁判では、スクリーンショットで撮った不倫相手とのLINE画面やトーク履歴などが不貞の証拠として提出されるようになった。直接的な証拠でなくとも、不倫相手と一緒に過ごしていたと思われる日の様子や場所などが記されたSNSが提出されるケースも増加している。
「以前は『何か怪しいな』と感じても不倫相手を特定するためには興信所を使うなど、お金も時間も労力もかなりのものが必要だった。しかし今はSNSを通じて不倫相手を特定しやすくなりました。不倫をする側は、裁判で不利になる証拠をわざわざ世界に向けて発信しているようなものです」(澤藤弁護士)
SNSが破壊するのは男女関係だけではない。とくに「LINEいじめ」は社会問題化している。これは本来、仲のいい者同士がコミュニケーションを取り合うはずのSNSである『LINE』をツールにした仲間外れやいじめのこと。