自民党総裁選は岸田文雄・政調会長の出馬断念で、安倍晋三首相の総裁3選に“当確”が打たれる情勢だ。まさに「安倍の次は安倍」(二階俊博・幹事長)の言葉通りの展開だが、首相にとって総裁選以上の難題が浮上しているようだ。「安倍家の後継者」問題である。こちらは“晋三の次も晋三”とはいかないからである。
安倍家の後継者問題は総裁選後の官邸人事にも影響を与えそうだ。『安倍晋三 沈黙の仮面 その血脈と生い立ちの秘密』(小学館刊)などの著書がある政治ジャーナリスト・野上忠興氏が語る。
「安倍家には後継者に秘書官を経験させる伝統がある。安倍首相の父の晋太郎氏は新聞記者から舅である岸信介首相の総理秘書官を務めて政界入りしたし、晋三氏自身も父が外相時代に勤務先(神戸製鋼所)を退職して外相秘書官となった。
総裁選で3選されると首相は次の3年間が最後の任期となる。安倍家の事情からすれば、そろそろ身内の誰かを総理秘書官に起用して後継者修業させることを考えてもおかしくないタイミングです」
昭恵夫人との間に子供がいない安倍首相の場合、後継者候補とみられているのは2人の甥だ。
首相の実兄・寛信氏(三菱商事パッケージング社長)の長男・寛人氏と、首相の実弟である岸信夫・元外務副大臣の長男・信千世氏。2人とも慶応大学出身で、寛人氏は三菱商事に勤務し、信千世氏はフジテレビ報道局の記者だ。