気象庁が「災害」と認定した記録的猛暑で、東京五輪の開催を危ぶむ声が高まり、海外メディアまでもが報じ始めた。すでに対策も講じられているが、はたして……。
1912年のストックホルム五輪の男子マラソンでは、参加68人中33人が途中棄権し、ポルトガルの選手が熱中症で倒れ、五輪史上初の死亡例となった。
100年以上前の悲劇を繰り返すわけにはいかない。国際オリンピック委員会理事会で承認されたマラソンの日程案は、当初計画では女子(8月2日)・男子(同9日)ともに朝7時30分スタートとなっていたが、東京五輪組織委員会は暑さ対策のため、朝7時スタートに繰り上げた。併せて競歩、トライアスロン、ゴルフなども開始時間を前倒しすることとなった。ロス五輪マラソン代表で、スポーツジャーナリストの増田明美氏はこう評価する。
「30分でも早まってよかった。気温を考えると午前中の30分は大きい。マラソンのコース前半にあたる日本橋や銀座はビルが多く、時間が早まると太陽がまだ低いので影が多くなります。
選手のなかにはコースの各地点の日陰の長さを想定する人もいるでしょう。ここはビルの影になる、街路樹で日陰になる……といったことから位置取りや走るラインを設定するのです」