「朝起きた時から頭がボーッとして、日中もなんとなく体がだるい。仕事に集中しようと思っても、なんだかやる気がおきない。普段から食生活には気を配っているし、運動のためになるべく歩くようにして健康には気を遣っていたのですが、連日のように30度を超える猛暑が続いていたので、夏バテだと思っていたのです」
東京都内在住の60代男性・Aさんは昨年、こんな体調不良に悩まされていた。体が暑さに慣れれば症状もなくなるだろうと思い、とくに対処せずに過ごしていたが、改善するどころかその後、めまいが頻発するようになった。異常に気付いたAさんが病院を受診すると、医師から「低血糖の初期症状」だと指摘されたという。医薬情報研究所取締役で、薬剤師の堀美智子氏が解説する。
「低血糖の初期症状として、空腹感や、Aさんのように脱力感を感じる人が多い。交感神経症状といって、汗がよく出たり、顔色が青白くなったりする場合もあります。その後、中枢神経症状に進むと、あくびやめまいが頻繁に起き、集中力が低下するなどの症状が出てくる。さらに重篤化すると大脳機能が低下し、痙攣、錯乱、意識を失い昏睡状態になるなどの症状を招くので、軽い症状のうちに気づくことが大切です」
夏バテだと感じていたAさんが、なぜ低血糖と診断されたのか。そこにはこんな落とし穴があった。