“日大のドン”として知られる田中英壽理事長の存在感は意外なところにまで波及していた。アメフト、レスリングに続いて、ボクシング業界にも、組織の体質を巡る告発が起きている。
国内のアマチュアボクシングを統括する日本ボクシング連盟(日本連盟)傘下の県連盟幹部らが、日本連盟の山根明会長の“悪行”を訴え、日本オリンピック委員会(JOC)や日本スポーツ振興センター(JSC)、所管の文部科学省などに告発の準備を進めている。
県連幹部らは「日本のボクシングを再興する会」を組織し、6月に山根会長の退任を求める文書を全国の都道府県連に送った。9人で始まった会は、約20の県道連トップや大学ボクシング部監督、元五輪代表選手など300人を超す構成員に膨れ上がった。告発メンバーのひとりが言う。
「山根会長は2011年の就任以来、“恐怖政治”で権力を固めてきた。選手を人質に取られている傘下の組織はみんな声を上げられなかった。だけど、このままでは競技が衰退していくばかり。実際、2023年からの国体でボクシングは隔年開催に“降格”が決まった。そういう危機感が我々を突き動かしたのです」
告発状では、山根会長によるJSC助成金の不正流用、公式試合用グローブなどの不透明な独占販売、公式試合における審判不正──など12項目に及ぶ疑惑を指摘するという。