米軍基地が近いことからジャズ喫茶やミリタリーショップなどが軒を連ね、アメリカと日本の文化が混在した独特の雰囲気が漂う神奈川県横須賀市の「どぶ板通り商店街」。その一角で、若い男性と話し込む地元出身の国会議員に、通りすがりの主人公が声をかける。
「進次郎! 久しぶり!」
「こんにちは!」
サッと手を挙げて主人公の声に応じたのは、黒いスーツに身を包んだ小泉進次郎衆院議員(37才)。
これは横須賀を舞台にした映画『スカブロ』のワンシーン。監督の矢城潤一氏をはじめ、俳優陣のほとんどが横須賀出身。地元企業や市民の協賛を得た全面バックアップによるいわば“横須賀ローカル”の作品だ。
昨年6月に地元限定で封切られたが、この7月21日から東京・新宿での公開が始まり、名古屋、大阪、長野でも順次公開予定となっている。
進次郎氏の出番はわずか15秒ほどだが、7月23日に都内で行われた映画のPRイベントに横須賀発祥のスカジャン姿で登場。“地元愛”を熱く語った。さらに映画で初共演を果たした兄について、「小泉孝太郎(40才)ってすごいと思った。(俳優に)進む道は間違っていなかった」と評価した。
矢城監督が進次郎氏の俳優デビューの経緯を明かす。
「最初のオファーでは“機会があれば”という返事でしたが、撮影の最終週に進次郎さんが横須賀に来るという情報が入ったので、“明日どうですか?”とダメ元でお願いしたところ、急遽出ていただけることになって驚きました。当日は撮影の30分前に現場入りされて、打ち合わせをしました。進次郎さんの方から“いつものぼくのように、こんなふうに話すのはどうですかね”と提案もあり、ほとんどがアドリブでした」
映画『スカブロ』は思わぬ方面から注目を集めている。
「最初の公開から1年あいたこのタイミングでの全国公開は、9月下旬に差し迫った自民党総裁選への準備ではないかと見る人もいる」(自民党関係者)
総裁選とは、自民党の国会議員や党員らが総裁(党首)を選出するために行う選挙だ。衆院第一党のリーダーに選ばれることは、すなわち総理大臣になることを意味する。
出馬が予想されているのは、現職の安倍晋三首相と石破茂氏の2人で、下馬評では安倍首相の圧倒的有利。このままいけば安倍首相が3選し、自民党政権が倒れない限り、2021年まで総理の座につくことになる。