民主党出身で、国民民主党共同代表の玉木雄一郎氏がYouTubeのチャンネルを7月27日に開設した。玉木氏といえば、旧民主党若手のホープ的立場として山尾志桜里氏とともに2013~2014年頃から売り出し始めた人物であり、森友・加計問題でも多数の質問をした人物だ。
チャンネル開設から初の動画は東京・表参道で道行く男子学生2人に話を聞いた。2人とも20歳で、一人は年金が心配だといい、もう一人は奨学金返済がツラいと訴えた。一人目の学生に「悩みとか不安とかありますか?」と聞いたところ「年金の問題ですね。今ニュース見ると他のことで国会が動いている。関係ないとは言わないが、それをそこまで論点にするのかなということで盛り上がっている。生活に関係したことでやってもらいたい」と述べた。
玉木氏は「森友・加計をやり過ぎたということですか。私、かなりやったけどダメですかね」と聞いたところ学生は「距離感を感じる。(中略)年金の話は結果こうなってあんまりされてなかったのが現状」と答えた。まぁ、そうなのである。2017年初頭から野党はいわゆる「モリカケ問題」に時間を割き過ぎた。「国家を揺るがす大スキャンダルである! さらなる追及を!」とする意見もあるが、今回、玉木氏がこの学生の発言を敢えて入れ、追及の当事者たる自らがモリカケ問題について時間を割き過ぎたことを認めた形となった。
同氏がチャンネル開設にあたり出したプレスリリースでは「知名度こそ低い私ですが、プライドを捨てて、こんな玉木だからこそ今できることは何か?を胸に番組に挑ませていただく所存です。チャレンジする以上中途半端はいけません。“ユーチューバー”になり切ることで永田町の中にいるだけではわからない、世の中の本当の声を聞き出し、世に広く発信していきます」と述べていた。
同チャンネルでは、街頭インタビュー企画のほか、玉木氏が自身の議員会館の部屋から注目を集めている政治の話題を解説するコーナーも予定しているという。
今回、玉木氏のチャンネル開設は評価できる面もあるだろう。それは、ネットでは「民主党」という言葉に対するアレルギー反応的なものがあるからだ。それは「無能」「内ゲバ」「売国奴」や「反日」といった言葉セットになるのだが、玉木氏はこうしたところを理解しつつ、敢えて茨の道たる“ユーチューバー”になったと思われる。事実、コメント欄には辛辣な言葉が並ぶ。
しかし、「取り敢えずコメントokは良い事だ…」というコメントも書き込まれており、玉木氏がコメント欄を開放したことを評価する声もある。ネットでは民主党系、共産党、社民党系の議員は「パヨク」などと呼ばれ蔑まれることが多いが、玉木氏の立ち位置はこれまで5年ほどウォッチしてきた中、「中道」な感がある。
あくまでも自民党外の勢力から政権を取ることを狙う政治家として活動をし続けているように見えるからこそ、小池百合子氏の「希望の党」と合流をしたのかもしれない。結局2017年の総選挙では惨敗したものの、政治的に極端に右でも左でもない人間からすれば案外バランスの取れた政治家だと筆者は感じている。