医師や看護師に対する暴力や患者同士の喧嘩、さらには窃盗、セクハラなど、病院内ではさまざまなトラブルが発生している。現在、こうした事件に対処すべく“院内交番”を設置している病院は全国に約300ある。
ここでは実際に病院専属ポリスが出動した「暴力事件」の内容を報告する。
患者たちが静かに名前を呼ばれるのを待っている、大病院の待合室。
「〇〇さ~ん。診察室にお入りください」と看護師が告げた。ひとりの男性患者が「自分の番が来た」と立ち上がると、近くにいた別の男性患者が突如その腕を掴んだ。
「俺のほうが先に来た!」
「何だよ! 俺が呼ばれたんだ。文句あるかッ!!」
売り言葉に買い言葉で、怒鳴り合いは揉み合いに発展。看護師の制止もきかず、2人は殴り合いを始めた。
駆けつけた院内ポリスは2人を引き離し、「あの看板が見えますか?」と言って、受付の方を静かに指差した。そこには、「順番が前後する場合があります」と書かれた紙が貼られていた。現役の院内ポリスとして活躍する聖路加国際病院の佐藤太郎氏がいう。