霞が関を揺るがす汚職事件はついに、文部科学省の事務方トップにまで疑惑が波及することとなった。
〈楽しい飲み会に参加させていただきありがとうございました〉〈また何らかの形で様々なご教示を賜れば幸いです〉
そんな文面のメール記録がここにある。
送信日時は2015年11月2日で、送信者は戸谷一夫・現文科次官。一斉送信の宛先には、一連の汚職事件において贈賄容疑などで逮捕・起訴された医療コンサルタント会社元役員の谷口浩司・被告のアドレスが含まれていた──。
7月に入り、文科省では佐野太・局長、川端和明・統括官という2人の現職幹部が相次いで東京地検特捜部に逮捕された。息子を裏口入学させるために東京医科大に便宜を図ったとされる佐野氏の事件、高額接待を受けた見返りに医療コンサルタント会社に便宜を図った疑いのある川端氏の事件、その両方の事件に絡んでいるのが谷口被告だった。
「谷口氏は、裏口入学事件では佐野氏と東京医大をつないだ受託収賄幇助容疑で逮捕・起訴、川端氏の事件では贈賄側として逮捕されている。
事件の全容解明の鍵を握る谷口氏は、政界人脈を誇示しながら文科省を中心に中央省庁に出入りし、政・官・業をつなぐ役割を果たす“霞が関ブローカー”だったとされる。自身が役員を務めていた会社へ便宜を図ってもらう見返りに、官僚を接待攻勢で次々に籠絡していったとみられています」(捜査関係者)
冒頭のメール記録は、その谷口被告と戸谷次官に“接点”があったことを示しているのだ。