日大のアメフト問題、東京医科大の裏口入学など、大学の抱える闇が次々に明るみに出ている。その最大タブーが、ヤクザの存在である。本来交わることのない両者が結びつく「教育界のタブー」を、暴力団取材のスペシャリストであるジャーナリストの溝口敦氏とフリーライターの鈴木智彦氏の2人が語り合った。
鈴木:ヤクザと大学と言えば、私立大学の学長選にヤクザの影がちらつくことはある。学長選挙のたびに知り合いのヤクザから学長候補を名指しして「こいつは山健派だ」「こいつは弘道会派だ」という声が聞こえてくる。
実は学内選挙や選考会議を経て理事長が決定される国立と違い、私大の約7割は理事会や学長選考委員会といった限られた人間の意向で動くため、票集めが容易です。
溝口:票集めにヤクザが一枚噛んでいれば、校舎や施設の建設工事に噛める。
鈴木:ですが、金額も空港建設の利権などと比べたら、はるかに小さいですよね。
溝口:それでいて逮捕される危険性は高い。だから、今どきヤクザの側から教育機関に近づくことは考えづらい。接触するのは大学教授の側からじゃないか。大学教授のような立派な肩書きの人間が、ヤクザに憧れてヤクザグッズを集めているなんて話はよくある。