100回を迎えた夏の甲子園。史上初となる2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭に、50メートル5秒7の藤原恭大(きょうた)、“二刀流”の根尾昂(あきら)、150キロに迫る豪腕・柿木蓮といったプロ注目の選手が集中しているが、目を向けるべき選手はまだまだいる。ノンフィクションライターの柳川悠二氏が、注目の優勝候補と注目選手を解説する。
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大会2日目に登場する大阪桐蔭では今秋のドラフト候補たちではなく、大学進学を予定している主将の中川卓也に注目したい。
昨夏の甲子園において、大阪桐蔭は3回戦で仙台育英に敗れた。1対0とリードした9回裏2死の状況で、一塁を守っていた中川が遊撃手からのボールを捕る際にベースを踏み損ね、その後、逆転サヨナラ打を浴びた。中川は、「野球は最後のアウトを取るまで何が起こるか分からない。あの日から、あらゆるプレーで『100%の確認』を徹底してきました」と振り返る。春の王者に慢心はない。
その“一強”を追う第2グループに位置づけられるのが、センバツ決勝で大阪桐蔭に敗れた智弁和歌山、そして関東の私学4強だ。「打高投低」の今大会を象徴するように、いずれも注目スラッガーを揃える。
歴代最多となる甲子園通算68勝の智弁和歌山・高嶋仁監督は「(右の好投手が揃う)大阪桐蔭攻略の鍵は『左打者』が握る」と話し、林晃汰に大きな期待を寄せる。飛距離は世代ナンバーワンで広角にボールを運ぶ器用さもあるが、センバツは5試合でわずか4安打(1本塁打)。甲子園での屈辱は、甲子園で晴らすしかない。