記念すべき100回大会を迎えた夏の甲子園に、いよいよ主役となる大阪桐蔭が登場し、2年前に全国制覇した作新学院と相対する。この度、『4千分の1の名将 新・高校野球学[関西編] 』(大和書房)を上梓した高校・大学球児向けフリーマガジン「サムライベースボール」の発行人である古内義明氏が、史上2校目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭の死角に迫った。
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8月2日に行われた組み合わせ抽選会。大阪桐蔭の中川卓也主将がクジを引いてから、しばらくの間、対戦相手が決まらなかった。終盤、ようやく決まった対戦相手は、2年前の優勝校であり、夏の栃木予選8連覇中の作新学院だった。同校の磯一輝主将は「(大阪桐蔭の隣)5番が空いてると思っていた。初戦で大阪桐蔭と当たるのも何かの縁。挑戦者のつもりで自分たちの野球をやりたい」と抱負を述べていた。
「小針監督は特に凄いと思っています。自分が33歳の時なんて甲子園にも出られずに、もがいて、もがいていた時期でしたので、小針監督はもう堂々と甲子園で采配されています」
大阪桐蔭の西谷監督は、対戦相手となった作新学院の小針監督をそう評し、若手の代表格と位置付けていた。
高校球界を見渡せば、帝京の前田三夫監督、智弁和歌山の高嶋仁監督、大垣日大の阪口慶三監督の大ベテラン監督がいて、それから日大三高の小倉全由監督や平安の原田英彦監督などが続き、西谷監督の昭和44年生まれの49歳世代は、東海大相模の門馬敬治監督や花咲徳栄の岩井隆監督と、全国制覇を達成した名将を輩出する黄金世代と言える。その世代からすると、33歳の小針監督を筆頭に、関東一高の米沢貴光監督(42歳)や敦賀気比の東哲平監督(37歳)などは、次世代監督と言えるのだろう。
以前、西谷監督が選抜優勝を振り返る際にこんな話をしていた。
「選抜準決勝の三重高校戦は、2014年の夏の甲子園決勝もそうでしたが、簡単にはいかないだろうなと。大会最年少の小島紳監督(28歳)は正直やりにくかったです。前任の中村好治監督(64歳・現総監督)のいいところも受け継いでいて、そこにまた何か武器を持っていて、その上にちょっと大胆さがあり、何か怖い者知らずというか、『ええ!そこで!』と思うような場面が準決勝でもいくつもありました。試合をするのが本当はイヤでしたが、そんなことは選手にも誰にも言えませんでした」
弱音を見せない西谷監督が、口にした衝撃的な告白だった。