国内

パチンコ店で指名手配犯とバッタリ! 元刑事の捕物劇

パチンコ店で指名手配犯と隣り合わせて…

 警察の内部事情に詳しい人物が関係者の証言から得た、警官の日常や刑事の捜査活動における驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、元刑事がパチンコ店での指名手配犯逮捕の一幕を回想。

 * * *
「あっ!と思ったら、隣に犯人がいたんだよね。それも自分が指名手配した犯人がさ」と元刑事は苦笑いした。そんなまさかの逮捕劇が、一昔前、八王子のあるパチンコ店で起きたのだという。

 最近では警察ドラマの中で、パチンコ店でのシーンを見ることはほとんどない。だが昔の刑事ドラマや任侠映画では、刑事が情報屋やワケありの者を探す場としてパチンコ店がよく使われていたのだ。

「今は少なくなったけど、昔はパチンコ屋で時間を潰している刑事もけっこういたよね。遊んでいるように見えるけど、実際は泥棒が来たり、いろんなのが来たりするから、そういう名目もあってパチンコ屋にいたんだけど、まぁ自分も楽しんでいる部分はあったね。俺もけっこう好きだったから、よく行ったし(笑い)」

 非番のその日も、元刑事は所轄管内にある八王子のパチンコ店に出かけた。当時、髪にはパンチパーマをかけ、着ていたのはジャージー。その姿は、ちょっとそのスジの人に見えたはずだ。

 パチンコ店に入ると、ある台の前に座った。早く当たれと思うのだが、なかなか当たりがこない。どんどん熱が入り、台とにらめっこ状態が続いた。誰が横に座ったのか周りなど気にすることなく、ただただパチンコに夢中になっていた。

 台がひと際大きな音を立て、仕掛けがカラフルに回転する。「おっ当たった!」。台がフィーバーし始めたのだ。ようやく、ほっと大きく息を吐いた。それと同時に余裕も出てきて、ふと周りが気になった。何気なく、横に目を向けたその瞬間、

「あっ!」

 思わず出そうになる声を飲み込んだ。台を一つあけた隣に年配の男がいた。その顔に見覚えがある。写真のあの顔が脳裏に浮かんだ。自分が毒劇物取締法違反で指名手配をしたやつだ。

「いた!」

 全身に緊張が走る。だが、男の足元には出した玉を入れた箱が積み重ねてあった。昔は今みたいにカードで玉がキープできる仕組みはなく、出した玉は、専用の箱に入れ足元に積んであった。

 それを見た元刑事、「えっ? ずいぶん出しているじゃないか。やつがここに座ってから30分は経っているんじゃないのか? 俺はパチンコに夢中で、今までやつに気付かなかったのか…」──そう思った途端、瞬間的に動いた。応援を呼ぶだけの余裕が彼にはなかったのだ。

 すぐさま男に声をかける。

「○○さんだよね?」

 名前は今も覚えている。確か「さん」付けで声をかけたという。

「あぁ、そうだけど」

 面倒くさそうな声で返事をしながら、男が怪訝そうに振り向き、元刑事を睨みつけた。

「こいつだ!」

 非番とはいえ警察手帳は持っていた。睨みつけている男の顔の前にすっと手帳を差し出した。勢い、男は立ち上がり、慌てて逃げ出そうとした。その身体に元刑事が飛びかかる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
小室眞子さん第一子出産で浮上する、9月の悠仁さま「成年式」での里帰り 注目されるのは「高円宮家の三女・守谷絢子さんとの違い」
週刊ポスト
TUBEのボーカル・前田亘輝(時事通信フォト)
TUBE、6月1日ハワイでの40周年ライブがビザおりず開催危機…全額返金となると「信じられないほどの大損害」と関係者
NEWSポストセブン
ラウンドワンスタジアム千日前店で迷惑行為が発覚した(公式SNS、グラスの写真はイメージです/Xより)
「オェーッ!ペッペ!」30歳女性ライバーがグラスに放尿、嘔吐…ラウンドワンが「極めて悪質な迷惑行為」を報告も 女性ライバーは「汚いけど洗うからさ」逆ギレ狼藉
NEWSポストセブン
夏の甲子園出場に向けて危機感を表明した大阪桐蔭・西谷浩一監督(産経ビジュアル)
大阪桐蔭「12年ぶりコールド負け」は“一強時代の終焉”か 西谷浩一監督が明かした「まだまだ力が足りない」という危機感 飛ばないバットへの対応の遅れ、スカウティングの不調も
NEWSポストセブン
田中圭の“悪癖”に6年前から警告を発していた北川景子(時事通信フォト)
《永野芽郁との不倫報道で大打撃》北川景子が発していた田中圭への“警告メッセージ”、田中は「ガチのダメ出しじゃん」
週刊ポスト
TBS系連続ドラマ『キャスター』で共演していた2人(右・番組HPより)
《永野芽郁の二股疑惑報道》“嘘つかないで…”キム・ムジュンの意味深投稿に添付されていた一枚のワケあり写真「彼女の大好きなアニメキャラ」とファン指摘
NEWSポストセブン
逮捕された不動産投資会社「レーサム」創業者で元会長の田中剛容疑者
《無理やり口に…》レーサム元会長が開いた“薬物性接待パーティー”の中身、参加した国立女子大生への報酬は破格の「1日300万円」【違法薬物事件で逮捕】
週刊ポスト
2日間連続で同じブランドのイヤリングをお召しに(2025年5月20日・21日、撮影/JMPA)
《“完売”の人気ぶり》佳子さまが2日連続で着用された「5000円以下」美濃焼イヤリング  “眞子さんのセットアップ”と色を合わせる絶妙コーデも
NEWSポストセブン
話題のAIビデオチャットアプリ「Castalk(キャストーク)」
「リアルだ…!」グラビアアイドル・森咲智美と2人きりで「ふれあいタッチ」も AIアバターアプリ「Castalk」を男性記者が体験してみた
NEWSポストセブン
石川県を訪問された愛子さま(2025年5月18日、時事通信フォト)
「バッグのファスナーをすべて開けて検査」愛子さま“つきまとい騒動”で能登訪問に漂っていた“緊張感”
NEWSポストセブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さんが第1子出産》小室圭さんが母・佳代さんから受け継ぐ“おふくろの味”は「マッシュポテト」 関係者が明かす“佳代さんの意外な料理歴”とは
NEWSポストセブン
群馬県草津町の黒岩信忠町長、町長からわいせつ被害を受けたという嘘の告訴をした元町議の新井祥子被告
「ずるずるずるずる、嘘を重ねてしまいました」…草津町長への“性被害でっち上げ” 元女性町議が裁判で語った“発言がどんどん変わった理由
NEWSポストセブン