日大のアメフト問題、東京医科大の裏口入学など、大学の抱える闇が次々に明るみに出ている。その最大タブーが、ヤクザの存在である。本来交わることのない両者が結びつく「教育界のタブー」を、暴力団取材のスペシャリストであるジャーナリストの溝口敦氏とフリーライターの鈴木智彦氏の2人が明かす。
溝口:大学関係者のなかで、ヤクザに取り込まれやすいのは、医学部の教授や医者でしょうね。
鈴木:記憶に新しいのは昨年、京都府立医科大学が、六代目山口組直参である淡海一家・高山義友希総長が拘禁を逃れるためにウソの診断書を提出していたとして、京都府警から虚偽有印公文書作成の疑いで強制捜査を受けた件ですね。
溝口:高山総長は京都という土地では今でも名士ですからね。彼のオヤジも有名なヤクザですが、息子には「ヤクザになるな」と言っていて、高山総長は東海大学を卒業して地銀に勤めていた。それがオヤジの死後に弘道会の舎弟になって、すぐに直参に取り立てられた。
鈴木:大学出で六代目山口組の直参まで上りつめたのは高山総長くらいでしょう。
ほかにも、2016年に神戸山口組の井上邦雄組長の右腕と言われた元組長が、懲役20年の刑が確定しながらも「収監は望ましくない」とする医師の診断書があったから収監されなかった。その診断書を書いたのが有名な大学の教授だったんです。
溝口:メディアに名医としてよく取り上げられる先生だったからか、この件は大メディアではあまり話題にならなかった。