日大のアメフト問題、東京医科大の裏口入学など、大学の抱える闇が次々に明るみに出ている。その最大タブーが、ヤクザの存在である。ヤクザにも学閥や学歴のつながりはあるのか。暴力団取材のスペシャリストであるジャーナリストの溝口敦氏とフリーライターの鈴木智彦氏の2人が語る。
鈴木:東京医科大で裏口入学疑惑が世間を騒がしていますが、かつては受験生からの人気も高い超有名私立大学で、なぜかその裏口入学の窓口が暴力団になっていた。
その大学の応援団が暴力団への人材の供給源になっていたから、その学閥つながりで裏口入学の斡旋を担っていたようですね。
溝口:一時期、大学の体育会からヤクザに人材が多く流れていた。とりわけ多かったのが関東に拠点を置く指定暴力団でした。
鈴木:10年くらいかけて暴力団員を対象にしたアンケートを取ったことがありまして。700人ほどが答えたんですが、大卒は20人もいた。暴力団では世間と価値観が逆転していて、学歴はないほうがいいし、刑務所には行っていたほうがいい。少年院に入っていたらなおいい。そういう世界ですから一桁くらいと思っていたんですが、意外に大卒が多いなと感じました。
溝口:ただ、体育会系の部活動が暴力団の供給源になっていたのは少し前までの話で、最近はそういった大学で体育会系の部活動を真面目にやっていると、不良をやるヒマなんかない。だから、真面目な人間は警察にスカウトされるようになっている。
鈴木:ヤクザを輩出してきた大学と、警察官を輩出する大学は重なるんですね。