1990年代に日本の芸能界を席巻したのが女優のヘアヌードブーム。中でも大きな話題になったのが、今も女優として第一線で活躍する菅野美穂が1997年に発表した『NUDITY』だ。作家の中谷彰宏氏も同作に衝撃を受けた1人だ。中谷氏が語る。
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私はヘアヌードのヘアは「黒い余白」だと思っています。キャバクラもパンツ丸見えになると意外に流行らないですね。それよりはスカートのすき間をハンカチで隠され、見えるか見えないかのお店の方が、お客も来るし、喜びがあります。ヘアヌードにあるのはロマンチックなものなんです。裸というと、「モロ見せ」なイメージもありますが、ヌードは高尚な精神性を感じさせます。見えないものを見るのです。
ヘアヌードは、ヘアの部分だけが大事じゃありません。ヘアが写っていない写真も重要で、ヘアはメインディッシュのふりをした黒い余白の美なのです。
実際に今、菅野美穂の『NUDITY』を見ても、ヘアなのか影なのかと迷わせる撮り方がいい。リアルに見せたかったら、ギュスターヴ・クールベの絵画『世界の起源』のように股間アップ、性器アップを見ればいいんです。ただ、それでは日本人は満足しません。