宮沢りえの『Santa Fe』を筆頭に、1990年代前半に世間を大いに騒がせたのがヘアヌードブーム。多くの女優が裸身を晒したが、当時発表された写真集を女性はどう見るのか? 写真家の安珠氏が、1993年発売の川島なお美の写真集『WOMAN』について語る。
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この写真集が出た当時、周りの男性たちがみんなザワザワしていました。その10年ほど前、なお美さんはキュートな女子大生タレントとして若い男子の間で絶大な人気を誇っていましたから、よほど衝撃だったのでしょうね。
表紙に使われた凜とした表情のヌードに始まり、コケティッシュでナチュラルなヌード、美しい肉体を見せつける誇らしげなヌード、大胆なポーズや挑発的な表情の官能的ヌードなど、見たことのない川島なお美がいたわけですから、ざわついたのは当然でしょう。
当時すでに写真家として活動していた私は、同じ女性として、なお美さんの意識の高さに驚き、感動したのを覚えています。
表紙の写真に強いインパクトを受けてページをめくると、なお美さんが潔いほど全身全霊を傾けて撮影に挑み、内面の情熱がほとばしり出ていることを感じます。ヘアヌードは、いくら女優さんが作品として演じる部分があったとしても、少なからず自分自身の素の部分をさらけ出さざるを得ません。それを恐れず全面にやってのけたなお美さんの勇気を眩しく思いました。