年を重ねると立っていることが億劫になり、どこか場所を見つけては「ドッコイショ」と座りたくなるものだ。だがKIZUカイロプラクティック院長の木津直昭氏は、「高齢者ほど座ることには注意してほしい」と呼びかける。
「一般的に高齢者は1日12時間以上座っているとされます。すると必然的に歩くことが少なくなり、腰、膝、股関節の障害を起こしやすくなる。ポンプのような働きをして血液を心臓に送り返すことから“第二の心臓”と呼ばれるふくらはぎの活動が低下すれば、血流が滞って動脈硬化を引き起こし、最悪の場合は心血管障害などで死が早まる可能性もあります」
米国の医学誌『JAMA』に2012年に発表された論文では、1日11時間以上座っている人は、4時間以下の人よりも死亡リスクが40%上昇していた。
「“座っていれば体を休められる”というのは誤りです。正しい姿勢で座らないと、立っている状態より体に負担がかかって健康を損ないます」(木津氏)
では、どういう座り方が理想的なのか。木津氏は「高齢者は骨盤を立てることを意識すべき」と指摘する。
「胸を張って座り続けることが理想ではありますが、それが難しい場合には『骨盤を立てること』だけでもするべきです。骨盤は人体の中で最も大きな骨格で強度も強いため、骨盤を立てれば上半身の重みを支えて首、背中、腰へと連なる背骨への負担を減らせます」