歴代首相のなかでもネット人気が高いのは、2009年に第93代内閣総理大臣に就任した鳩山由紀夫氏だろう。政界を引退したいまも、その再登場を望む声があがるほどだ。では、安倍晋三首相が自民党で総裁選に敗れたら、どんな反応が起きるのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が分析する。
* * *
自民党総裁選は安倍晋三氏の圧勝との見方が出ているが、安倍氏が負けた場合に喪失感を抱くのは誰か? 安倍内閣での入閣を目指していた議員や地元の支援者は当然ながら、案外「反アベ」の人々が脱力するのでは。アベは日本を戦前の状態に戻そうとする危険な独裁者であり、この人権蹂躙の政権を倒さぬ限り市民生活は暗澹たるものになる──。
これがこの5年8か月ほど彼らが主張してきたことであり、デモではアベの顔にヒトラー風のチョビ髭をつけたプラカードを掲げたり、アベの宴会芸用マスクをブルドーザーで潰すパフォーマンスをしたりする。ヒトラーと並ぶ悪党扱いをしてきたアベが消えた場合、「イシバ」とカタカナで呼んで悪党扱いするのもまだ想像できない。というか、毛沢東やスターリンや金正日はあまり悪党扱いしないんだよな、彼ら。
アベの反対の立場ではあるものの、ネットでは「喪失感」が過去に蔓延したことがある。それは、2009年9月から2010年6月まで首相を務めた鳩山由紀夫氏をめぐってのことである。