「掃除機をかけていることを、忘れさせられる」──生活家電を手がけるツインバードから登場したコードレススティック型クリーナー『TC-E261S』(オープン価格、実勢価格3万3000円前後)を使った人は、一様にその“軽さ”に驚く。そうでありながら、肝心の吸引力も驚くほどパワフル。開発者の実感から誕生した商品は、女性の使い勝手にもこだわっていた。
日々の生活に欠かせない掃除機。さまざまなタイプが登場するなか、“軽さ”で一気に注目を集めたのがツインバードのコードレススティック型クリーナー『TC-E261S』だ。開発を任されたのは、若きデザイナー・古川泰之さん(29才)。サイクロン式掃除機を使っている家族や友人から「たまったゴミを捨てる時、空気中にほこりが舞うのが気になる」という不満を耳にした。そこで古川さんは、ほこりが舞わず、かつ手を汚さずにゴミを捨てることができる紙パック式のコードレススティック型クリーナーの開発に着手した。
しかし開発当時、古川さんは重責のうえに業務に忙殺され、家には帰って寝るだけ。掃除の手が回らず、部屋中にモノがあふれていたという。もちろん、掃除機の開発者がこれでいいはずがない。一念発起して片づけの本を買いあさり、ついには部屋にあったほとんどのモノを捨ててしまった。
それからというもの、今度は掃除機をかけることが習慣となった。毎日掃除機を手にするからこそ、古川さんは掃除機本体の“軽さ”がいかに重要かに思い至った。
まずは、掃除機としてのキモともいえるパワフルな吸引力にこだわり、モーターの設計に取り掛かった。しかし、パワフルさを重視したあまり、モーターが重くなりすぎてしまった。本体の重量は1.9kg。実際に掃除機をかけてみると、重い。そこで性能は下げず、部品のすき間を埋めて無駄なパーツを取り除き、サイズダウンを図った。試行錯誤の末、吸込仕事率は70Wとパワフルでありながら、業界最軽量クラスの1.5kgを実現した。無駄なパーツを省き、さらなる軽量化とスリムなデザインにもつながった。
ヘッド部分にはボールキャスターを搭載し、フローリングモップのように、180度クルクルと円を描くような自在な動きも実現した。また、手に負担が掛からないよう、ヘッドの回転軸から直線に位置したところにハンドルを取りつけた。女性が自然に握りやすいよう、ヘッドとハンドルが水平になる角度に配置することにもこだわった。そのために、50枚以上のスケッチを描いて確認したという。
今年5月に発売されると、ユーザーから「思った通り軽かった!」「可動域の広いヘッドに驚いた」と、多くの声が寄せられた。
“掃除をする日が消えた。”というキャッチコピーには、「日常の中で意識せず、自然に掃除機を使ってほしい」という思いが込められている。疲れることなく掃除ができ、使いたい時にサッと手に取れる『TC-E261S』。“掃除機をかけているという現実”から、解放されたように感じるかもしれない。
※女性セブン2018年8月23・30日号