国内

元組長が明かす、祭りのテキ屋屋台が国際化している理由

祭りの屋台が近年インターナショナル化?

 警察の内部事情に詳しい人物が関係者の証言から得た、警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、お祭りの屋台が国際色豊かになってきている背景を、元暴力団組長の話から解き明かす。

 * * *
 ここ数年、夏祭りの景色が変化していることに気付いてはいた。立ち並ぶ屋台が国際色豊かになってきているのだ。プルコギ、チャプチェ、チヂミにホットク、大連餃子に焼小龍包、トルコアイスにケバブ…。外国人観光客の増加に伴ってということかと思っていたら、その内情はどうやら違うらしい。

「暴排条例が日本の文化を損ねているんだよ」

 追われる側の話も聞こうと、焼き肉を食べながら今は引退している元暴力団組長に取材している最中、こんな言葉が元組長の口から飛び出てきた。興味があるので、それはどういうことなのか?と突っ込んで聞いてみた。

「それは屋台、テキ屋のことだよ」

 暴力団排除条例の施行で、そのスジのテキ屋組織では解散するところも出たが、多くのテキ屋は暴力団とは関係がないはずだ。

 元組長の隣で、若い衆がカルビを焼き始めた。ジューッという音とともに肉の焼けるいい香りが鼻をくすぐる。部屋はもちろん個室だ。

「テキ屋もテキ屋組織として昔からの名前があるんだけど、暴力団が強い時期に、いじめられたり脅かされたりするのが嫌で、こっちに入ってきたのがけっこういてね。そうすると、警察からは暴力団組員と認定されてしまう。指がないとか入れ墨を入れるとか、前科があるとなると、テキ屋として商売をするための道路許可証は取れないんだ」

 暴排条例以前は、元組長の組織もテキ屋を稼業の1つとしてやっていたという。今はもう手を引いたのかと聞いてみると、意味あり気に口の端を上げて笑った。若い衆は知らんぷりだ。

「神社内のことは神社が決めるんだが、神社外の敷地は自治会が関係するし、道路が引っかかってくると、警察の道路許可証と営業許可が必要になる。提出書類は指定があって、住民票と写真、過去5年間に犯罪歴がないかどうかの証明書が必要だ。これは警察で取ってくる。犯罪歴があれば許可は下りないし、暴力団組員と認定されていれば許可証は取れない。今では身内が取るのも難しいね」

 いい加減に焼けたカルビを、若い衆が元組長の皿にのせていく。たっぷりとタレをつけた肉を、うまそうにほお張る元組長。

「さて、そこでどうするかだ」

 ウーロン茶を一口飲むと、手にしたグラスをテーブルに置いた。グラスの中の氷がカチンと鳴った。元組長は酒を飲まない。

「テキ屋は間口三寸といってね。誰も許可証が取れないとなると、おのずとテキ屋の場所が余ってくる。余ったといって、普通の人がやれるかといえば、テキ屋は技術屋だからそう簡単にできるもんじゃない。綿菓子作るにも何年もやっていないと、あんなにきれいな綿菓子はできない。たこ焼きもそうだよな?」

 そう言って、箸でキムチをつまみながら若い衆の顔をのぞき込む。

「…ですね。素人の作ったたこ焼きなんて、あんなもん、まずくて食えたもんじゃないですよ」

 すかさず頷いた若い衆だが、まずいたこ焼きを思い出したのか、吐き捨てるよう言って、焼いていたカルビを網にジュッと押さえつけた。

関連記事

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走 “一管理職の職責を超える\"心労も
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
【女占い師が逮捕】どうやって信者を支配したのか、明らかになった手口 信者のLINEに起きた異変「いつからか本人とは思えない文面になっていた」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン