今春から甲子園で導入されたタイブレーク(延長12回を終えて同点の場合に、無死一、二塁から13回の攻撃を始めるルール)が初適用となったのは、今大会の1回戦、佐久長聖(長野)対旭川大(北北海道)戦だった。
決勝をのぞいて引き分け再試合がなくなるため、導入前は「ドラマが生まれなくなる」という心配の声も上がったが、タイブレークならではの妙味もある。
延長15回まで膠着状態が続くより、無死一、二塁から始まり得点が生まれやすいタイブレークのほうが、より監督の手腕が問われる。先攻・後攻、打順の巡り合わせによって、先頭打者にバントで送らせるか、強攻策かの選択に迫られるのだ。
史上初のタイブレークを制したのは、先攻の佐久長聖だった。藤原弘介監督が語る。
「先に点を取った方がタイブレークは有利に運べますね。(14回表は)当たっていなかった1番・真銅龍平からの打順で、バントをサード前に転がしてヒットになり、1点を取れた。裏の旭川大さんは、4番打者から。一度はバントの構えをしながら、強攻策を採った結果、0点に終わった。僕も4番が先頭打者だったら悩んだと思います」
反対に「後攻の方が有利」と振り返る監督もいる。2例目のタイブレークで先に2点を勝ち越しながら、済美(愛媛)に逆転された星稜(石川)の林和成監督だ。