「4人姉弟で上から3番目の長男だと思いますが、姉弟のなかで一番印象にないんです。母親からも彼についての話を聞いた記憶がなくて。それだけ“問題のない子”だったはずなんですが」
そう語るのは、今月10日に北朝鮮で拘束された日本人男性A氏の一家と付き合いのあった近隣住民だ。
A氏は39歳の映像クリエイター。中国の旅行会社が主催する観光ツアーを通して北朝鮮に入国したというが、拘束後の状況などは明らかになっていない。1999年にスパイ容疑で拘束され、2年2か月にわたり北朝鮮で抑留生活を送った元日経新聞記者・杉嶋岑氏が語る。
「Aさんが拘束されたという南浦は軍事施設のある港湾都市です。北朝鮮では基本的に、外国人が鉄道や空港、軍港などを撮影していたらスパイ扱いされて拘束されると考えていい」
一体なぜA氏が北朝鮮に渡ったのか、判然としない。インターネット上で公開されているA氏の映像作品やSNSを見ても、政治や国際情勢に強い関心を持つ様子は見られなかった。
A氏に映像制作を依頼したことのある音楽業界関係者も「ここ最近は連絡を取り合っておらず、渡航についても全く知りませんでした」と驚きを隠さない。