8月中旬、猛暑がやわらぎ、涼しさが秋の到来を感じさせる週末の夕方。東京都心にある大学病院の廊下を小走りで急ぐ女性がいた。服装はグレーのジャージーと迷彩色のロングスカート。目元まで隠れるような大きなマスクをしている。
女性は病院内の売店でお茶とサンドイッチを購入すると、エレベーターホールの椅子にちょこんと座り、簡単な食事をとった。マスクを外した顔には緊張と疲労が入り交じる。
わずか5分ほどで食事を終えると、女性は最愛の父親が横たわる病室へと、またも小走りで駆け戻って行った。
フリーキャスターの長島三奈(50才)。彼女がつきっきりで看病するのは、父の長嶋茂雄さん(82才)だ。
「どうも入院中の長嶋さんの容体が芳しくないようです。悪化と小康の繰り返しで病状が安定せず、いつなんどき、何が起こってもおかしくない状態だそうです。看病する三奈さんも家に帰らず、時には泊まることもあるようで、気が休まらない日が続いていて、少しやつれた感じがします」(長嶋家の知人)
本誌・女性セブンは前号(8月23・30日号)で、ベールに包まれた長嶋さんの病状を詳報した。
「7月上旬、高熱と激しい腹痛を訴えた長嶋さんが極秘入院しました。肌や目が黄色くなる『黄疸』の症状が出ていて、検査で肝臓のすぐ近くにある『胆のう』の調子が悪いことがわかったそうです。その後、検査数値もなかなか回復しないので、命にかかわる肝不全や胆管炎になる恐れもありました。8月上旬の段階で病状は一進一退の繰り返しで、面会謝絶の状態が続きました」(前出・長嶋家の知人)
国民的英雄の病状については箝口令が敷かれ、ごく一部の関係者にしか情報は伝えられなかった。だから、本誌の「ミスター緊急入院」の一報は世間に大きな衝撃を与えた。長嶋さんが終身名誉監督を務める読売巨人軍は「長嶋氏のコメント」を発表した。
《大変ご心配をお掛けしました。おかげさまで回復しています。昼は高校野球、夜は巨人戦を観戦しています。山口俊投手のノーヒット・ノーランには心が震えました。内海、吉川光、メルセデスの左腕3投手による対DeNA戦3連勝には元気をもらいました》
この唐突とも思えるコメント発表に疑問の声も上がった。
「わざわざ選手の具体名に言及し、ちゃんと野球が見られる状態にあるとアピールしているようにも見えた。逆に“何かあるのではないか”と勘ぐってしまいました」(スポーツ紙記者)
コメント後、“回復”したはずの長嶋さんの退院どころか、容体さえ具体的に報じたメディアはなく、病床のミスターは隠されたままだ。とくに長嶋さんにとって身内であるはずの読売新聞から何の報道もないことに違和感もある。