6月に発生した大阪府北部地震では、ブロック塀が倒れ小学生の女児が亡くなるなどの悲劇が発生した。ブロック塀の安全への関心が高まっている中、隣家のブロック塀の安全性はどうか──。他人の所有物を調査したいケースについて、弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
7年前に家を購入した際に、隣家の主人が家と家の仕切りをつけたいということで、高さ約1メートル80センチのブロック塀を建てました。先の大阪府北部地震の痛ましい事故もあり、塀の安全性を調査したいと隣家の主人に申し出たところ、「面倒だから」と断わられました。この場合、どこに相談すればよいですか。
【回答】
建物に付随するブロック塀は建築基準法上の「建築物」であり、同法20条1項4号で、政令に定める安全な技術的基準に適合している必要があります。政令では高さ2.2メートル以下、厚さ15センチ(高さ2メートル以下の場合は10センチ)以上で、径9ミリ以上の鉄筋を所定の位置に配置し、3.4メートル以内の間隔で控え壁を設置するなどを定めています。
ただ、高さが1.2メートル以下だと相当緩和されます。昭和53年の宮城県沖地震でブロック塀の倒壊事故が多発し、亡くなった方も少なくなかったことから、昭和56年以後はこの基準によることにされたものです。隣家は塀だけを設置したとのことですが、あとから塀だけを作っているので、建築確認を得たものではありません。
しかし、建築物の所有者は建築確認の有無にかかわらず、建築物を常時適法に保つように努める義務があります。努力義務ですが、役所は建築基準法違反の疑いが濃厚な場合には、立ち入って調査できる権限があると解されています。