情報番組のコメンテーターでなくとも、“事件”に対してどう発言するかで周囲の見方は変わり得るものである。「大人力」を研究するコラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
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どう語ればいいのか、とても難しい問題です。インドネシアのジャカルタで8月13日から開催されているアジア競技大会で、出場していたバスケットボール男子日本代表選手の4人が、公式ウェアで市内の歓楽街に繰り出して買春行為をしたことが発覚しました。
4人は代表認定を取り消され、8月20日に帰国。その日のうちに日本バスケットボール協会は記者会見を行ない、居並ぶ記者の前で4人に頭を下げさせました。日本選手団の山下泰裕団長やスポーツ庁の鈴木大地長官も、遺憾の意を示したり憤ったりしています。
いっぽうで、擁護する声も少なくありません。21日放送の「スッキリ」(日本テレビ系)では、司会の加藤浩次さんが「相手も仕事でやっていることですからね」と言ったり、ツイッター上でもデヴィ夫人が「若気の至り、誰にも過ちはある」と書いたり、元航空幕僚長の田母神俊雄さんが「いいじゃないかそれぐらい。それでは日本のソープランドやファッションヘルスはどうして存在しているのか」と書いたりしています。
本音では、擁護派の人たちと同じように思っているおっさんは少なくないでしょう(ここでは売買春の是非を論じたいわけではなく、おっさんとしてのあり方を追求しようとしています)。もし非難している側が、彼らが「買春」したことを問題にしているんだとしたら、多くのおっさんはそれに乗っかる資格はありません。イエス・キリストも「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい」と言いました。
ただ、昨今は平気で自分を棚に上げて、過ちを犯した「悪者」に嬉々として石を投げる人が山ほどいます。しかも、相手のやったことを本気で「許せないほど悪いこと」と思っているわけではなく、世間の風向きに乗っかっているだけ。おっさんといえども恥の概念を忘れてはいけません。こういうケースで、ちゃっかり高見に立って「ケシカラン!」と非難するような恥知らずにはならないようにしましょう。
「公式ユニフォームを着たままでそういうことをしたのがいけない」「日本代表としての自覚がない」「公費で行っているんだから慎むべきだ」と、別のもっともらしい理由を探してきて、自分の「叩きたい欲」を満たそうとするみっともない手法もあります。
オリンピックでは選手村で大量のコンドームが消費されるのは有名な話だし、サラリーマンが会社のお金で行く出張先でそういう行為に及ぶケースが多いのもよく知っているはず。結局は風向きに乗って「叩きやすいところを叩いている」の域を出ません。
「ケシカラン!」と眉をひそめるのが、おっさんとして最低の見解だとしたら、もうちょっとマシな見解は何か。彼らの行為はさておき、「なぜバレたのか」「ハメられたんじゃないか(ハメたのではなく)」と裏事情を詮索したり、「何か大きな力が働いているんじゃないか」と陰謀論を語ったりすると、何となく物事を深く見通している気になれます。