芸能

秋野太作 喜劇を演じるというのは、悲劇を演じること

喜劇でも悲劇でも演じてきた

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・秋野太作が喜劇論や喜劇役者論について語った言葉をお届けする。

 * * *
『男はつらいよ』での渥美清との共演や『必殺』シリーズ、『俺たちの旅』での自ら計算しての三枚目役などを通して、秋野太作は自らの喜劇論・喜劇役者論を確立してきた。今回はそこを存分に語ってもらっている。

「普通の芝居は、努力すれば誰でもできるんだよ。でも、喜劇をやりましょう、この人物を喜劇的に演じましょうとなったら、できない人が必ず出てくる。

 その違いは、客観性があるかないかじゃないかな。自分の演じる感情や心理に一生懸命になる俳優もいるし、見た目に一生懸命になる俳優もいるし、技術に一生懸命になる俳優もいる。

 だけど、それだけでは喜劇はできない。主観と客観の二つの目線が必要なんだ。それは、『ズレ』が分かること。そこが分かっていないと、笑いは生まれない。本人は一生懸命にやっているのに、客観的に見るとおかしい。そのズレが分かんないで主観的にだけやっていると、面白味って出てこないんだよ。一生懸命だけど、もう一つの目線では突き放していないとね。

 だから、喜劇を演じるというのは、悲劇を演じることでもあるんだ。一生懸命やっているのに客観カメラで見たらおかしくてしょうがないんだから。

 そこを間違えて、すぐに面白いことをしようとする俳優がいるんだよ。面白いことを考えて、面白いことを言ったり、こけてみたり。でも、そこには悲劇性がないと笑えないんだ。そこまで読み込んでいないと」

関連キーワード

関連記事

トピックス

田中圭と15歳年下の永野芽郁が“手つなぎ&お泊まり”報道がSNSで大きな話題に
《不倫報道・2人の距離感》永野芽郁、田中圭は「寝癖がヒドい」…語っていた意味深長な“毎朝のやりとり” 初共演時の親密さに再び注目集まる
NEWSポストセブン
春の園遊会に参加された天皇皇后両陛下(2025年4月、東京・港区。撮影/JMPA)
《春の園遊会ファッション》皇后雅子さま、選択率高めのイエロー系の着物をワントーンで着こなし落ち着いた雰囲気に 
NEWSポストセブン
現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
週刊ポストに初登場した古畑奈和
【インタビュー】朝ドラ女優・古畑奈和が魅せた“大人すぎるグラビア”の舞台裏「きゅうりは生でいっちゃいます」
NEWSポストセブン
逮捕された元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告(過去の公式サイトより)
「同僚に薬物混入」で逮捕・起訴された琉球放送の元女性アナウンサー、公式ブログで綴っていた“ポエム”の内容
週刊ポスト
まさに土俵際(写真/JMPA)
「退職報道」の裏で元・白鵬を悩ませる資金繰り難 タニマチは離れ、日本橋の一等地150坪も塩漬け状態で「固定資産税と金利を払い続けることに」
週刊ポスト
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン