省庁再々編の一番の標的が第2の“消えた年金”問題(※注)や働き方改革のデータ改竄などで散々政権の足を引っぱった厚労省。党行革推進本部の原案では、同省の2分割案が検討され、甘利氏ら首相側近の再編推進派と分割に反対する厚労官僚や自民党厚労族議員との綱引きが始まっていた。
【※注/昨年9月、厚労省が共済年金の加算制度で事務処理ミスなどがあり、約598億円の年金支給漏れがあったことを公表した問題】
その最中、検察筋から「接待リスト」が流れて厚労省を疑惑が直撃。再編推進派にすれば、官僚を黙らせる格好の材料になる。
「安倍首相は森友・加計問題では文書改竄など役所からの情報漏洩で窮地に立たされた。中央省庁の再々編を打ち出せば、官邸は各省庁に“逆らえば再編の対象にする”と締め付けることができる。再々編は霞が関の粛清の武器になる」(森氏)
しかも、中央省庁を整理統合するのは大事業で、1内閣では終わらない。菅氏や甘利氏など安倍政権で力をつけた政治家はそろそろポスト安倍時代の生き残りを考えなければならないが、安倍政権のうちに中央省庁再々編のレールを敷いて主導権を握れば、この先も霞が関と政界に睨みを利かせることができる。リストはそのための切り札にもなる。
総裁選の政敵潰しと霞が関の粛清、1通のリストが永田町と霞が関を大きく揺らし始めた。
※週刊ポスト2018年9月7日号