全国からエリートを集めた強豪私学と、秋田県内出身選手だけで戦った県立農業校。その好対照ゆえ、優勝した大阪桐蔭が“ヒール役”となってしまった感は否めないが、それは「規格外の強さ」の裏返しでもある。ノンフィクションライターの柳川悠二氏が、エリート集団の本当の姿をレポートする。
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金足農業との決勝において、大阪桐蔭は既に疲労困憊の相手エース・吉田輝星を初回から攻略し、5回までに12点をあげ、終わってみれば13対2と圧勝した。
田舎の公立校を相手に、一切の隙を見せない“忖度なき戦いぶり”が、決勝後、勝者よりも敗者にスポットが当たった理由だろう。
「大阪桐蔭は、全国から選手を集めているから」
ファンのみならず、名門と呼ばれる学校の名将ですら、こんな言葉で大阪桐蔭の強さを表す。もちろん、同校は全国の非凡な才能に早くから目を付け、熱心な勧誘で入学に導いてきた。
しかし、才能だけで勝てるほど、甲子園は甘くないだろう。“最強世代”を入学前から追ってきた筆者としては、彼らとて泥と汗にまみれた日々を送ってきたことは伝えたい。