世の中には様々な健康法が溢れている。しかし、メディアが「これで長生きできる」と喧伝していても、その中には本当に信じてよいのか疑わしいものもある。
「本当に信頼に足るのは、『実際にどれだけの人が健康になったか』という事実を積み上げた『統計(疫学)データ』です」
そう指摘するのは、『みんなが信じている健康法のウソ』の著者で、東京慈恵会医科大学教授の浦島充佳医師だ。こう続ける。
「集団を対象にして集めたデータを、統計的な手法で分析し『病気になる人』と『病気にならない人』の生活習慣を長期的に比較した研究が近年増えています」
そこで今回、「死亡リスク」に関係する生活習慣の研究データを調査。すると、これまでの常識とは異なる“長生きの疫学データ”も見えてきた。
例えば、米ハーバード公衆衛生大学院が65歳以上の成人2692人を16年間追跡調査したところ、魚を週2回以上食べる人は、サケやマグロ、イワシなどの青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸の血中濃度が高く、食べない人より死亡率が27%低下して、平均2.2年長生きした。
オメガ3脂肪酸は心疾患リスクを下げる働きがあるといわれており、この研究でも心疾患を原因とする死亡率に限ると35%も低かった。